2014

講師セミナー2014年度

141119 先導研非常勤講師講演会
講師:名戸ヶ谷病院ロコモティブシンドローム研究所 主任研究員
原田 伊知郎 先生

日時:11月19日(水)14:00~15:00
場所:先導研伊都地区 2F会議室

講演題目:
「生体内細胞の力学環境場に対する応答性 -その現象や相互作用の可視化等の解析方法」

要旨:
生体内の細胞は細胞外マトリクス(ECM)を認識して生理的に接着することで機能を十分に発揮する。さらに細胞はECMの分子種だけではなく、種類に依存した「種類」、「構造」、「物性」などを合わせて認識していることが明らかにされてきた。特に近年、細胞が接着している足場の固さは、細胞の分化能や形態形成などに直接関与することが示されつつある。しかしながら、細胞がどのように周辺環境の物性を検出しているのか、その分子機構の詳細はまだ明らかになっていない。細胞が足場の弾性率を認識する機構は、インテグリンを介して接着した接着点に対して細胞がアクトミオシンを通して牽引力を発揮し、その接着点にかかる反作用を検出する分子または分子システムがあることが示唆されている。他方で、細胞が足場に力を加えたときに生じる基質の歪みの大きさを検出してアクトミオシンの力を調整するようなモデルも提案されている。このような見解の不一致は、ECMの力学強度の違いによって細胞が発揮する力の大きさや、接着点に生じる接着斑構造サイズの変化に対する統一的な知見がまだないためである。広範囲にわたる基質の弾性率に対する応力変化などの細胞の応答性を同一の手法によって調べることが難しいことから、細胞が検出して機能調整しているのは、接着点に加わる応力なのか、その歪みなのかということすら明確になっていないのである。加えて、軟らかい足場とした培養基質上の細胞に対して一般的な生化学的実験も工夫が必要であるなど技術的な問題点も少なく無い。本セミナーでは、これまでに得られてきた足場の物性が細胞に与える現象論的な知見や足場と細胞との力学的相互作用の計測方法等を紹介させていただき、現在のECM物性が関与するメカノトランスダクション研究の問題点についても議論したい。

141112 先導研非常勤講師講演会
講師:物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究者・ユニット長
陳 国平 先生

日時:11月12日(水)14:00~15:00
場所:先導研伊都地区 2F会議室

講演題目:
「再生医療のための高分子多孔質足場材料の開発」

要旨:
再生医療において、多孔質足場材料は細胞を三次元的に分布させ、特定の形状を賦与しつつ、再生のためのスペースを提供するための支持体として重要な役割を果たしている。また、足場材料は、細胞の接着や増殖、分化などの機能を制御できること、高い生体親和性、機械強度など、実に様々な性質が要求される。本講演では、再生医療に用いられる足場材料をレビューしながら、最近の進歩と今後の展開も合わせて紹介する。特に、足場材料の構造制御技術や複合化技術、生体親和性の向上方法などの例を挙げながら、組織再生に相応しい足場材料およびその製造方法について述べる。

140620 研究室セミナー
講師:
理化学研究所 先端光学素子開発チーム 三好 洋美 博士

日時:6月20日(金)10:30〜11:30
場所:ミーティングルーム

講演題目:
『細胞機能制御のための人工細胞外環境の設計コンセプト』

要旨;
生体組織の形成、維持、再生において、細胞の移動運動、および、増殖・分化・アポトーシスのバランス制御が重要である。アクチン細胞骨格は、細胞 運動の駆動力源を構成する分子としてよく知られている。加えて近年、アクチン細胞骨格が、細胞増殖、分化をはじめとした細胞の運命決定のための細 胞内シグナル伝達において、中心的役割を担う分子の一つであるという報告が多数なされている。そのため、アクチン細胞骨格を外的に制御する技術 は、組織工学において非常に有用である。細胞には、細胞外環境の力学状態の変化に応じて、アクチン細胞骨格を再編成し、細胞外環境との力学的恒常 性を維持するメカニズムが存在することが知られている。この性質を利用すると、細胞外環境を用いたアクチン細胞骨格の外的制御が可能なことが期待 される。本セミナーでは,アクチン細胞骨格を制御するための人工細胞外環境の設計コンセプトについて紹介する.

雑誌会2014年度

140424 J.E. Dixon et al., “Combined hydrogels that switch human pluripotent stem cells from self-renewal to differentiation”, PNAS 111, 5580-5585 (2014)/担当:久保木

140424 A. Kumagai et al., “A Bilirubin-induced fluorescent protein from eel muscle”, Cell 153, 1602-1611 (2013)/担当:宮永

140510 K.T. Morin et al., “Aligned human microvessels formed in 3D fbrin gel by constraint of gel contraction”, Microvascular Res. 90, 12-22 (2013)/担当:池上

140510 C. Yang et al., “Mechanical memory and dosing influence stem cell fate”, Nature Mater. doi:10.1038/nmat3889 (2014)/担当:浜野

140524 T.G. Otsuji et al., “A 3D sphere culture system containing functional polymers for large-scale human pluripotent stem cell production”, Stem Cell Rep. 2, 1-12 (2014)/担当:宮永

140614 B.M Watson et al., “Synthesis and characterization of injectable, biodegradable, phosphate-containing, chemically cross-linkable, thermoresponsive macromers for bone tissue engineering”, Biomacromolecules. 15, 1788-1796 (2014)/担当:池上

140614 W.J. Polacheck et al., “Mechanotransduction of fluid stresses governs 3D cell migration”, PNAS 111, 2447-2452 (2014)/担当:久保田

140712 T. Sakuma et al., “Repeating pattern of non-RVD variations in DNA-binding modules enhances TALEN activity”, Sci. Rep. 3, 3379 (2014)/担当:宮永

140712 K.Malachowski et al., “Self-folding single cell grippers”, Nano Lett. dx.doi.org/10.1021/nl5000136a (2014)/担当:浜野

140920 J.H. Wen et al., “Interplay of matrix stiffness and protein tethering in stem cell differentiation”, Nature Materials. doi:10.1038/nmat4051 (2014)/担当:久保田

140920 T. Ahmad et al., “Miro1 regulates intercellular mitochondrial transport & enhances mesenchymal stem cell rescue efficacy”, EMBO J. doi:10.1002/embj.201386030 (2014)/担当:久保木

140927 P.G. Chao et al., “Micro-composite substrates for the study of cell-matrix mechanical interactions”, J. Mech. Behave. Biomed. 38, 232-241 (2014)/担当:仲村

140927 S. Wu et al., “Spider silk for xeno-free long-term self-renewal and differentiation of human pluripotent stem cells”, Biomaterials 35. 8496-8502 (2014)/担当:水本

141011 Y. Harada et al., “Metabolically programmed quaility control system for dolichol-linked oligosaccharides”, PNAS 110, 19366-19371 (2013)/担当:山崎

141011 A. Jain et al., “Guiding intercortical brain tumor cells to an extracortical cytotoxic hydrogel using aligned polymeric nanofibers”, Nature Mater. 13, 308-316 (2014)/担当:久保田

141025 N. Oshima et al., “Induction of cancer stem cell properties in colon cancer cells by defined factors”, PLOS One 9, e101735 (2014)/担当:仲村

141025 A.D. Rape and S. Kumar, “A composite hydrogel platform for the dissection of tumor cell migration at tissue interfaces”, Biomaterials 32, 8846-8853 (2014)/担当:水本

141129 Y. Zhang et al., “DNA-based digital tension probes reveal integrin forces during early cell adhesion”, Nat. Commun. doi: 10.1038/ncomms6167 (2014)/担当:浜野

141129 T. Sekine et al., “A macroscopic reaction: direct covalent bond formation between materials using Suzuki-Miyaura cross-coupling reaction”, Sci. Rep. doi: 10.1038/srep06348 (2014)/担当:山崎

141206 ME Murray et al., “Substrate stiffness regulates solubility of cellular vimentin”, Mol. Biol. Cell, 25, 87-94 (2014)/担当:伊勢

141206 H. Nobusue et al., “Regulation of MKL1 via actin cytoskeleton dynamics drives adipocyte differentiation”, Nat. Commun. doi: 10.1038/ncomms4368 (2014)/担当:伊勢

141206 LT Edgar et al., “Extracelluar matrix density regulates the rate of neovessel growth and branching in sprouting angiogenesis”, Plos One, 9, e85178 (2014)/担当:池上

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