2008
講師セミナー2008年度
080123 先導研客員教授講演会
講師:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科システム循環生理学 教授
成瀬 恵治 先生
日時:1月23日(水)15:00〜
場所:先導研伊都地区 CE11 2階会議室
講演題目:『メカノバイオロジー』
要旨:
細胞は外部環境から様々なインプットを適切に受容−応答し、ホメオスタシスを維持している。しかし、ストレッチ刺激、ずり応力刺激などの物理的刺激に対する受容-応答機構の詳細については不明な点が多い。そこでシリコンエラストマー(polydimethylsiloxane, PDMS)を素材としたソフトリソグラフィーを駆使し機械受容依存的細胞内情報伝達機構(メカノトランスダクション)に関する研究をおこなってきた。このソフトリソグラフィーを用いるとミリメートルオーダーから、ナノメートルオーダーまでの造形物を鋳型に対して作成することが可能である。本講演ではこのソフトリソグラフィーを用いた基礎医学的研究(①細胞ストレッチ刺激チャンバーを用いた機械受容チャネルの分子生理学的研究、②マイクロ・コンタクトプリンティング法を用いた細胞形態制御、③マイクロチャネルを用いた流体力学的研究)とその臨床応用(生殖補助医療、再生医療)について講演する。
090620 GCOE 先端生命科学特論
講師: 赤池 敏宏 教授(東京工業大学生命理工学部教授)
日時:平成20年6月20日(金)
10:30〜12:00/
13:00〜14:30/
15:00〜16:00(G-COEセミナー)
場所:伊都キャンパス 環境システム科学研究センター CE40 2F多目的セミナー室
(工学府・理学府合同開催)
講義内容: 『細胞特異的認識材料の分子設計とその医学・薬学への応用』
肝細胞などの臓器構成細胞やES細胞を筆頭とする各種の幹細胞を、精度良く認識し接着・機能制御させるバイオマテリアルの設計は、高分子工学や遺伝子工学の手法の導入で十分展開可能となりつつある。再生医療/組織工学あるいは標的の細胞/組織の治療・診断への応用をめざした細胞認識材料の設計論と医学・薬学への応用の現状と未来を語る。
第42回G-COEセミナー内容:『ES細胞の機能制御をめざす細胞マトリックス工学の新展開』
各種サイトカインや細胞間接着分子であるカドヘリンファミリー等の表面アンカリング型キメラタンパク質への変換により,通常の接 着分子であるインテグリンに依存しない新規機能性マトリックス材料の創成を行える時代を迎えつつある.これによりES細胞をはじめとした幹細胞の増殖・分化,さらには幹細胞から分化した細胞や成熟細胞から組織形成を制御することによる再生医療への応用が期待される.本講演では、材料工学・細胞分子・生物学・遺伝子工学・医学が融合した学際的アプローチの重要性を強調したい
080917 GCOE先端生命科学特論
講師:三原 勝芳先生(九州大学名誉教授・医学研究院分子生命科学系部門)
講義内容/Title: 『タンパク質の細胞内トラフィック』
場所/Venue:伊都キャンパス 西講義棟3階4番講義室
講義日程:
9月17日(水) Sept. 17th 2008 (Wed.)
1コマ目 10:30〜12:00
2コマ目 13:00〜14:30
3コマ目 15:00〜16:00(第53回G-COEセミナー)
講義内容詳細:『タンパク質の細胞内トラフィック』
真核細胞内には脂質2重膜で仕切られたコンパートメント(オルガネラあるいは細胞小器官)が存在する。各オルガネラはそれぞれ特徴的な構造を持ち固有の機能を果たすとともに他のオルガネラとも協調して細胞全体の機能を調節している。約50年まえ電子顕微鏡によって細胞内の微細構造が明らかになり、時を同じくして開発された超遠心機を利用してこれらを分離し機能解析が始まったのが現代の分子細胞生物学の濫觴である。本講義においては、細胞生物学のメインテーマであるオルガネラ構築と機能の問題、すなわち細胞質内で合成されたタンパク質が目的のオルガネラに輸送されて機能を発現する機構、さらにその過程で行われるタンパク質の品質管理の機構について概説する。
第53回G-COEセミナー内容:『ミトコンドリア融合・分裂の制御と細胞機能調節』
「ミトコンドリアは2枚の膜によって囲まれたソラマメ状の構造を持ち、好気的なATP産生を行う場である」というのが従来のミトコンドリア像であった。しかし近年ミトコンドリアが細胞死(アポトーシス)の中心的な役割を果たすこと、細胞内に網目状に張り巡らされたミトコンドリアはダイナミックに構造を変化させ機能変換をはかること、またそれらの障害が老化や神経変性疾患の原因となることなどが明らかになってきた。細胞の生と死を調節するオルガネラとして多彩な機能を持つミトコンドリア像である。ミトコンドリアのダイナミックな構造は分裂と融合のバランスによって維持され、この過程は3種類の高分子量GTPaseによって調節される。分裂に関わる細胞質のDrp1、外膜の融合因子Mfn1、Mfn2、内膜融合と構造維持に関わる内膜のOpa1である。本講義においてはこれらの因子に関する我々の研究結果について述べたい。
080919 先導研客員非常勤講師講演会
講師:千葉大学大学院工学研究科 共生応用化学専攻 准教授
梅野 太輔 先生
日時:9月19日(金)14:00〜
場所:ウエスト4号館物質系4番講義室(W4-314)
講演題目:『細胞機能のプログラミング技術』
要旨:
細胞は、多様な機能をちいさなシャーシに詰め込んだ,究極のミクロロボットです。この細胞のオペレーションシステム(OS)に自前の遺伝子回路を割り込ませ、その行動プログラムを書き換える技術が生まれつつあります。
合成生物学(Synthetic biology)という言葉をあちこちで耳にするようになりました。合成生物学とは、Reductionistの立場から展開するシステム生物学のことです。この分野では、Device geneticsともいえる学問大系ができつつあります。Device Geneticistは、遺伝子機能の最小単位(遺伝子デバイス)を自前でつくり、その細胞での振る舞いを研究します。その堅牢性、予測可能性をもつ機能部品と見なしうる条件を探索しながら、生物機能デザインの第一原理を学び取ろうとしています。前半は、この分野の成果を簡単にご紹介します。
遺伝子パーツの機能予測性が担保されれば、それを形成する個々の生体高分子の構造や物理物性を全て無視して、ひとつの機能単位に抽象化できるようになります。記号化された機能単位を繋ぎ合わせて複雑な回路をつくることができ、そしてそれが設計通りに働くとき、細胞工学はついに工学の要件を満たすものになるでしょう。MITに設立されたRegistry of Standard Biological Parts(<http://partsregistry.org/>http://partsregistry.org/)では、BiobrickというDNAパーツの統一規格を提案しており、そのBiobrickを用いた遺伝子回路設計の国際コンペiGEM(international Genetically Engineered Machine competition)が開催されています。参加するのは、工学分野の学部生たち。彼らアマチュアクリエイターが創出したさまざまな機能を持つ「おもしろ細胞ロボット」を紹介しながら、「細胞の振る舞いを確実に操縦する技術」の可能性について、そして分子工学におけるオープンソース文化について、議論したいと思います。
雑誌会2008年度
080510 M.I. Buguete et al. “Novel peptidomimetic macrocycles showing exciplex fluorescence”, Tetrahedron 63, 9423-9501 (2007)/担当:寺田
080510 H. Murayama et al. “Chromic slide-ring gel based on reflection from photonic bandgap”, Macromolecules 41, 1808-1814 (2008)/担当:篠原
080524 W. Liu et al. “Compact biocompatible quantum dots functionalized for cellular imaging”, JACS 130, 1274-1284 (2008)/担当:富永
080524 F. Puntoriero et al. “Photoswitchable dendritic hosts: a dendrimer with peripheral azobenzene groups”, JACS 129, 10714-10719 (2007)/担当:上田
080530 J.G. Duque et al. “Stable luminescence from individual carbon nanotubes in acidic, basic, and biological environments”, JACS 130, 2626-2633 (2008)/担当:小川
080530 E. Kroon et al. “Pancreatic endoderm derived from human embryonic stem cells generates glucose-responsive insulin-secreting cells in vivo”, Nat. Biotech. 26, 443-452 (2008)/担当:奥田
080607 B.M. Gillette et al. “In situ collagen assembly for integrating microfabricated three-dimensional cell-seeded matrices”, Nat. Mater. 7, 636-640 (2008)/担当:河野
080607 P. Muller et al. “Calcium phosphate surfaces promote osteogenic differentiation of mesenchymal stem cells”, J. Cell Mol. Med. 12, 281-291 (2008)/担当:久保木
080627 J.G.Heddle et al. “Using the ring-shaped protein TRAP to capture and confine gold nanorods on a surface”, Small 3, 1950-1956 (2007)/担当:坂下
080627 Y-Q. Weng et al. “A copper(II) ion-selective on-off-type fluoroionophore based on zinc porphyrin-dipyridylamino”, Inog. Chem. 46, 7749-7755 (2007)/担当:寺田
080704 H.M.Powell, D.M. Supp, and S.T. Boyce, “Influence of electrospun collagen on wound contraction of engineered skin substitutes”, Biomaterials 29, 834-843 (2008)/担当: 富永
080704 Z. Nie et al. “”Supramolecular” assembly of gold nanorods end-terminated polymer “Pom-Poms”: Effects of Pom-Pom structure on the association modes”, JACS 130, 3683-3689 (2008)/担当:松尾
080927 A.J. Lampkins, E.J. O’Neil, and B.D. Smith, “Bio-orthogonal phosphatidylserine conjugates for delivery and imaging applications”, J. Org. Chem. 73, 6053-6058 (2008)/担当:上田
081011 P. Bisel, L. Al-Monami, and M. Muller, “The tert-butyl group in chemistry and biology”, Org. Biomol. Chem. 6, 2655-2665 (2008)/担当:小川
080927 E. Jin et al. “Event-by-event simulation of doule-slit experiments with single photons”, arXiv:0809.0616vl, Cornell Univ Library/担当:篠原
091115 H.K. Haider et al. “IGF-1-overexpressing mesenchymal stem cells accelerate bone marrow stem cell mobilization via paracrine activation of SDF-1 alpha/CXCR4 signaling to promote myocardial repair”, Circ Res. 103, 1300-1308 (2008)/担当:奥田
081122 M.I. Santos et al. “Endotherial cell colonization and angiogenic potential of combined nano- and micro-fibrous scaffolds for bone tissue engineering”, Biomaterials 29, 4306-4313 (2008)/担当:松尾
081122 P. Talbiersky et al. “Molecular clip and tweezer introduce new mechanisms of enzyme inhibition”, JACS 130, 9824-9828 (2008)/担当:上田
081206 S. Sekine, H. Kaji, and M. Nishizawa, “Integration of an electrochemical-based biolithography technique into an AFM system”, Anal. Bioanal. Chem. 391, 2711-2716 (2008)/担当:坂下
081206 M. Ehrbar et al. “Drug-sensing hydrogels for the inducible release of biopharmaceuticals”, Nat. Mater. 7, 800-804 (2008)/担当:富永
090117 K.-S. Lee et al. “Fluorescence turn-on probe for homocysteine and cystteine in water”, Chem. Commun. 6173-6175 (2008)/担当:小川
090117 M.H. Fiiby et al. “Induced fit interaction discrimination by binding-induced excimer formation”, JACS 130, 4104-4113 (2008)/担当:寺田
090131 K. Ghosh et al. “Tumor-derived endotherial cells exhibit aberrrant Rho-mediated mechanosensing and abnormal angiogenesis in vitro”, PNAS 105, 11305-11310 (2008)/担当:河野
090131 Y. Kuroda et al. “Osteoblasts induce Ca2+ oscillation-independent NFATc1 activation during osteoclastogenesis”, PNAS 105, 8643-8648 (2008)/担当:篠原
090207 M.F. Leong et al. “In vitro cell infiltration and in vivo cell infiltration and vascularization in a fibrous, highly porous poly(D,L-lactide) scaffold fabricated by cryogenic electrospinning technique”, J. Biomed. Mater. Res. A. 91, 231-240 (2008)/担当:奥田